未来の新エネルギー
核融合発電
反発しあう2個の原子核を、1億℃の熱と数十万倍の重力(60kgの体重が6万トンになるほどの大変大きい重力)で1個のより重い原子核に融合させる方法で、このときウランの4.5倍、石油の8000万倍のエネルギーを放出します。太陽が輝いているのは同じ原理で、成功すれば人類が自分の力で太陽を持つことになると期待されています。
(出典:核融合科学研究所)
核融合発電のメリット
- 原子力発電に使うウラン鉱は100~300年分の埋蔵量と言われていますが、核融合発電の場合、燃料は海水中の重水素。安価で無尽蔵に存在します
- 管理年数100年以下の低レベル放射性廃棄物しか出ないため、人類の将来にとって安全です(核分裂発電では数十万年~数億万年必要)
- 二酸化炭素CO2の排出がなく、地球温暖化防止になります
- 核分裂反応のように連鎖反応が無いので、原理的に原子炉の暴走が起こりません
注:太陽は制御しなくても自己連鎖核融合反応で燃えているのは、地球の数十万倍の重力が存在するからであると説明されています。
短所
- 開発費が巨額な上、維持費も高額になる。
実用化までの開発費が巨額(数百兆円レベル)すぎて商業ベースの見込みが難しいのが現状です。原子力大国フランスでは2019年、建設費が倍化する高速増殖炉実証炉「アストリッド(ASTRID)」の建設計画を中止しました。
そこで各国とも、単独での開発は無理と考え、EU・米国・中国・インド・日本・韓国の7カ国で国際協同開発実験炉「イーター計画」が計画されました。2025年までに実験を開始、2035年には400秒の連続運転を、フランスの核融合実験炉で予定しています。 - 巨大な設備が必要
1億℃を数秒間維持し、衝突させる原子核を1000km/秒に加速する実験だけでも小都市1個分の変電設備が必要で、実証炉や原型炉へと研究を進めるとさらに大型となります - 大量に発生する中性子に依る障害
核融合と同時に発生する大量の高速中性子が炉壁に衝突し、炉の構成材料を原子レベルで劣化・脆弱化するため長時間稼働が出来ず、商業ベース発電には辿り着いていません。解決出来る素材も当分見込みが無いと言われています(ノーベル物理学賞 小柴昌俊氏)
その他
- 安全保障上のエネルギー自給と地球温暖化防止の課題解決のため、各国の研究開発は継続しています。
- 日本の現状
- 核融合科学研究所 (ヘリカル型 岐阜県土岐市)
- 量子科学技術研究開発機構 (トカマク型 茨城県那珂市)
- 大阪大学 (レーザー方式 大阪府茨木市)
- 核融合関係以外の物理学者は「実用化は無理で担当科学技術者の夢と自己満足」と見ている人が多いのも事実です
(出典:文部科学省「核融合について」)