水力発電のマメ知識
水が高い所から低い所へ流れる時の位置エネルギーを利用し、発電用のポンプ水車を回して発電を行うのが水力発電です。
水力発電のメリット
再生可能エネルギーの雨水を使うので、燃料費はゼロ、地球温暖化ガスの排出もゼロ。運転コストも一番安い発電方法です。
また、貯水用のダムは農業用水と水道水の安定配給や、台風時の洪水防止にも役立っています。水力発電所は現在、全国に約2,700ヶ所あります。
(出典:電気事業連合会)
水力発電のデメリット
建設地が危険な山岳地帯となるため、建設に多額の費用と年月が必要となります。常時出力は最大20%のため、安定出力を求めて多くのダムを建設すると、水没地帯が発生し、集落や道路道等の移設に膨大な費用が掛ります。さらに国内では、ほぼ開発し尽くし、残りの候補地は小水力発電しか無いのが現状です。
御母衣ダム(出典:Wikipedia)御母衣ダム(日本第5位)
- 計画~完成:38年間
- 移転家屋:230戸
- 発電能力:最大215,000kW
揚水発電(水力発電の一種)
揚水発電は、大電力が必要な昼間は発電に使った水を下流側のダムに貯めておき、電力消費が少ない夜間に余った電力で発電機をモーターとして使って水車を逆転させて上流のダムに戻す方法で、水力発電の一種です。
電気エネルギーを水の位置エネルギーに置き換えて蓄電する方法ですが、全体の発電量が増えるわけではなく、最大需要時の発電力不足に対処するための方法となります。現在、全国には40ヶ所の揚水発電施設があり、設備容量では水力発電全体の半分を占めます。大規模(出力100~200万kW)な発電所が多いのが特徴で、近年は余った太陽光発電で揚水する例も出始めています。
昼間など電気が必要なときは放水で発電
夜間など電気が余っているときはポンプで水をくみ上げる
(出典:Wikipedia)
水力発電豆知識
ダムの目的と数
国、県が造るダムは洪水調整、農業用水と水道水の確保が主目的でダムの数も最も多く、ついでに発電しているものが多いですが、電気会社が造る超大型ダムは発電が第一目的です。
総数2,700ヶ所(1,300ヶ所は
灌漑 用)
- 発電目的:661ヶ所
- 発電専用:396ヶ所
- 富山県のダム:76ヶ所
ダムの大きさと水系全体での最大発電量
- 1位
- 徳山ダム(木曽川水系) 6憶6000万m3 最大100万kW
- 2位
- 奥只見ダム(阿賀野川水系) 6億100万m3 最大56万kW
- 3位
- 田子倉ダム(阿賀野川水系) 4億9400万m3 最大40万kW
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富山の水力発電所では...
- 15位
- 有峰ダム(常願寺川水系) 2億2000万m3 最大53万4000kW
- 17位
- 黒部ダム(黒部川水系) 2億m3 最大55万4000kW
- 水力発電では発電量は降水量に左右され、通常出力は水路式で0~25%、ダム式で10~35%ですが、最上流に巨大なダムを設けると、下流の水路式も含め常時出力は30~40%に向上します。ちなみに黒部湖の水は年4回程度入れ替わっています。
水力発電所の順位
- 1位
- 奥只見発電所(阿賀野川) 最大出力 56万kW
- 2位
- 田子倉発電所(阿賀野川) 最大出力 40万kW
- 3位
- 佐久間発電所(天竜川) 最大出力 35万kW
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北陸の水力発電所では...
- 4位
- 黒部川第4発電所(黒部川) 最大出力 33.5万kW
- 5位
- 有峰第1発電所(常願寺川) 最大出力 26.5万kW
- 6位
- 手取川第1発電所(手取川) 最大出力 25万kW
- 7位
- 御母衣発電所(庄川) 最大出力 21.5万kW
- 年間発電量NO.1は佐久間発電所で年間14~18億kWh
- 大容量蓄電池役の揚水発電所なら100万kW(最大193kW)以上でも10ヶ所あるが、これは自然河川からの水の流入はほとんど無い。
- 水力発電所は停電から最大出力までの時間が10~20分で需給調整に即座に対応でき、これに敵うものは無い。
- 国内の水力の未開発分は30%程あるが、建設困難な場所ばかりで開発は現実的ではない。
世界の水力発電
可能性
世界の全電力消費量12兆kWhに対して未開水力が17兆kWhもあり、理論上、水力だけで充分な計算になりますが、水力発電未開発地域のほとんどが需要の少ない南米・アフリカ大陸にあるため、開発が難しいのが現状です。
世界の水力発電水力発電量順位(単位
T Wh)
- 1位
- 中国:1,146(11億4600万kWh)
- 2位
- カナダ:389
- 3位
- ブラジル:367
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- 8位
- 日本