火力発電のマメ知識

化石燃料を燃やして湯を沸かし、発生した水蒸気でタービンに連結された発電機を回します。ここで言う水蒸気は一般のイメージとは違い、高温高圧で液体に近いもので、復水器(気体を液体に戻す)は海水で冷やすケースが一般的です。

火力発電の仕組み.png

(出典:Wikipedia)

火力発電の長所

水力と違い、水没による住民移転等の環境への影響が小さいため、建設費用は安く工事期間も短いのが特徴。また、電力消費地に近い場所に立地できるので送電損失が少ない上、1基当たり100万kWの最大出力を常時発電できるので、天候や気候条件に左右されずに安定して電力を供給できます。エネルギー効率も水力の80%につぐ55%程度と、他の発電方法の2倍程度に良く、出力調整も水力に次いで容易です。

火力発電の短所

地球温暖化ガスのCO2を大量に発生し、異常気象の一番の原因となっています。さら有限の化石燃料を消費している為、いつかは燃料が枯渇すること。また、海外への燃料費の支払が年間7兆円(公共事業費と同額、国民1人あたり54,000円)と高額になっています。

火力発電豆知識

  • 人間活動で発生している主な温暖化ガスの割合は、二酸化炭素76%、次がメタンガスの16%の順です。日本では化石燃料由来の内40%は発電、43%は産業運輸部門からの発生です。
  • バイオマス火力は「木材→燃やしてCO2→植物が吸収して木材」へと循環するので、再生エネルギーではありますが火力が弱く、仮に木材だけを発電に使用すると、全国の山林が数ヶ月、関東平野の広さの山林が1週間で無くなる計算になります。
  • 地球温暖化防止の為、各国のCO2ガス排出量の削減目標を決めた1997年の京都議定書と2015年のパリ協定では、目標は平均気温の上昇を産業革命(1780年)前より2℃未満としています。日本は2013年を基準に2030年までに26%の2030年までに80%の削減を目標にしています。さらに、パリ協定は今世紀後半には炭素排出量0を掲げているので、化石燃料は使えなくなります。代替えはバイオマス(動植物に由来する有機物)火力ですが圧倒的に量が少ないのが現状です。

図1.png

(出典:気象庁)

発電方法による発電量の割合

  • 地球温暖化の原因である火力発電が一番多い。
  • 世界全体での発電方法による発電量の割合は火力65%、水力16%、原子力10%、風力4%、その他5%。
  • 二酸化炭素CO2の発生量は世界全体で、340憶トン、中国94憶トン、米国50憶トン、インド25憶トン、以上3ヶ国で世界の50%を排出しており、日本は17.5憶トンで5番目。1人当たりでは米国15,338トン/人で中国の2.3倍、日本の2倍の排出量である。
  • 日本の発電方法による発電量の割合(2019年)は、火力75%、水力7.4%、太陽光7.4%、原子力6.5%、その他3.7%。火力の55%は石炭、45%はCO2発生量が石炭の60%と少ないLNG(液化天然ガス)であるがいずれも全量を輸入(年間7~8兆円)に頼っています。

火力発電割合2.png

(出典:ISEP 環境エネルギー政策研究所)

発電の方法